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医学部受験の慶応進学会フロンティア» ブログ » 中村 克己» ビジョンなき根性論に巻き込まれないために

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ビジョンなき根性論に巻き込まれないために

   投稿日: 2018/07/23    投稿者:中村 克己

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 医学部受験生で、英語に興味がある生徒は少数派です。勉強の仕方が分からない、という声もよく上がります。先日も、英文法で苦戦しているという悩みを聞きました。どうしていいか分からず、勉強が嫌になりそうだ、と。

 単元で区切られている問題なら解けるが、模試や本番のようにランダムに問われるとさっぱり分からない。何を問われているかさえも、また、それに対しどう勉強すればいいかも、分からない。

 英語の単元別の勉強、例えば「to不定詞の用法」の学習は、野球で言えばトスバッティングの練習をしているようなもの。野球経験者なら分かると思いますが、トスバッティングは、繰り返していれば、比較的短期間のうちに、バットの芯でボールを捉えられるようになって、気分がいい。単元別の勉強はこれと同じです。to不定詞は中2で習う論点ですし、大学受験で新たに学ぶ論点も数は限られています。不定詞関連の慣用表現も少しだけですから、理解も定着も難しくありません。

 しかし、医学部の本番は、150キロのボールが飛んでくるバッターボックスに立つようなものです。不定詞以外の文法論点が組み合わされる上に、語法の知識も含めた単語力、さらに背景知識や概念化の力が求められます。それまでにやっていたトスバッティングとは全く異なるように思え、一体どうすれいいんだと頭を抱えたくなる気持ちも分かります。トスなんか意味ない、素振りも嫌だと言って、継続を断ち切りたくもなるでしょう。

 草野球ならば、素振りだの、下半身強化のためのランニングだのをする必要はありません。皆で楽しく試合をして、ワイワイ盛り上がればいい。勝ち負けも二の次です。

 しかし医学部受験の英語はセミプロ級の実力が要求されます。素振りも筋トレも必須。そして、どんなに素振りをしても、実際のバッターボックスに立てば、やはり勝手が違います。夏以降は過去問演習を通じて「実際のボール」を自分の目で見て、バットを振って、身体が反応してくれるか否か、反応しないのであれば何が原因か、それを分析し、日々のトレーニングにフィードバックさせ、かつ、繰り返して「考えるまでもなく反応できる状態」に仕上げる必要があります。

 先述の受験生の悩みに対して乱暴に答えるならば「君は単元別の問題すら、まだポロポロ間違えています。目の前の問題集と単語集を、完璧にマスターしなさい。文法問題に関しては正答の根拠を説明できるようにしなさい」が返事です。

 何て面白くない答えなのでしょう。そしてこの答えは、生徒サイドも講師サイドも「思考停止」に陥る恐れを常にはらんでいます。「やるしかない」は、ある意味、思考停止。

 私は常に技術屋でありたいと願っています。零戦の主任設計者を務めた堀越二郎(宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」のモデルになった人です)が語った「われわれ技術に生きる者は、根拠のない憶測や軽い気持ちの批判に一喜一憂すべきではない。長期的な進歩の波こそ見誤ってはならない」という言葉に深く共感する者です。

 しかし、そうありたいと願いつつ、受験生にかける言葉がまるきり根性論、ということがあります。これには、当該受験生に根気がないから(←これじゃオヤジの愚痴だね)、という事情の他に、予備校運営上の構造的な問題、また語学学習の本質に関わる問題も絡み、様々な要素の結果なのですが、私が常に気をつけなければならないと思っているのが「ビジョンなき根性論」です。

 我々日本人はとりわけ、根性論が好きだと思いませんか?ビジョンを描き、叶えることが目的ではなく、「ガンバルこと」そのものが目的になる。高校野球では未だにこの構図が見られるようで、改善すべきだ、とダルビッシュがよく問題提起しています。野球の技術や、食事・休養など生活指導に関するスキルに関して、学んでいないコーチが多すぎる。指導の引き出しの数が少ないから、「根性だ」「気持ちだ」と自分の成功体験でしか語れない。その結果、壊れてしまう選手、苦しむ選手が後を絶たない、と。

 私見では、根性論に頼らないためには、正しい目標設定が必要です。そのためにはビジョンが必要なのですが、ビジョンを描くのは簡単ではない。また、無理に作り上げたビジョンに縛られ、変化できないのも馬鹿馬鹿しい話で、色々な意味で繊細なタッチが必要です。この話、続きます。

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