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医学部受験の慶応進学会フロンティア» ブログ » 中村 克己» バランス

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バランス

   投稿日: 2018/05/24    投稿者:中村 克己

 読者の皆さんは「中川政七商店」をご存知でしょうか?

 一言で言えば、雑貨屋さんです。工芸をベースにした製造小売り業態を確立し、店舗展開している会社で、その商品はデザイン性の高さから人気を得ています。随所に主張と造詣が染み込んでいて、店内を巡っていると楽しい。

 こういう店舗を作れる方は、必ずセンスを意識的に磨いています。仕掛け人である社長(中川政七さん)が最近、オススメ本として、「世界のエリートはなぜ『美意識を鍛えるのか』?」(光文社文庫)を挙げていました。私も読んでみましたが、果たして面白い。

 著者(山口周さん)によると、現在、グローバル企業においてMBAの価値が下がっており、その一方、幹部候補生を美術系大学院で学ばせる事例が増えているそうです。そしてその背景には、MBAで学ぶような分析的でアクチュアルなスキルよりも、統合的でコンセプチュアルなスキルの重要性が高まっている事実がある、と。

 他の背景として、

 「多くのビジネスが機能の差別化から情緒の差別化へと競争の局面をシフトさせている」

 「これまでのような『分析』『論理』『理性』に軸足を置いた経営、いわば『サイエンス重視の意思決定』では、今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスの舵取りをすることはできない」

 等々、興味深い指摘がなされています。とりわけ私は、

 (現代のように様々な要素が複雑に絡み合う世界では)「要素還元主義の論理思考アプローチは通用しません。そこでは全体を直覚的に捉える感性と、『真・善・美』が感じられる打ち手を内省的に創出する構想力や創造力が、求められることになります」(P17)

 という一節が響きました。(傍線は中村)

 一見、英語に関係のない話をしているようですが、実は関係大ありです。(と言うか、強引につなげます)

 受験英語の王道は、「要素還元主義の論理思考アプローチ」です。それは、英文を、単語や熟語といった最小単位に切り分け、その上で、文法や英文解釈のルールに則って、適切に組み立てて行くことです。

 この訓練は非常に重要で、端的に言えば「文法や精読は大事です。ここを疎かにすると、医学部で合否を分けるような難度の高い英文を正確に読むことは難しくなります」という単純な話に帰着しますが、問題はその先です。

 英語にも「要素還元主義」だけでは捉えきれない一面があるのです。英文読解も、現実のビジネス同様、様々な要素が複雑に絡み合って成立しています。ビジネスは人間相手の営みですが、人間は必ずしも合理的な意思決定をしません。人間の感情や情緒には分析的アプローチだけでは捉えきれない要素があり、そこにMBAの限界があるのだと思います。

 同様に、人間の脳にも、複雑な側面があります。和文・英文を問わず、文章から意味を読み取ろうとする時、人間の脳には、少なくとも今の私には捉えきれない複雑な作用が働いています。「分析」だけではなく、「統合」の作用が働いており、後者がとりわけ難しい。生徒さんが英文を読むとき、頭の中で働いている「分析」作業の内実は、私にはほぼ分かります。しかし一方で、どんな「統合」の作用が働いているのか。

 この統合作用のメカニズムが分かれば生徒さんの読解力を飛躍的に伸ばせると思っています。しかしまだ研究中、というのが正直なところで、ブラックボックスを前にして、脳科学者宜しく頭を抱えることがあります。

 スムーズな統合のためには「たくさんの英文を読み、問題を解き、慣れるしかない」という言葉に頼りたくなることがしばしありますが、私としては、「バランス」という言葉でこのあたりの種々相を捉えたいと思っています。

 バランス!

 優れたバランスを得るためにこそ、美意識を鍛える。そういったビジネスパーソンが増えている、という指摘が上述の本ではなされていますが、英文読解の上でも医学部受験を勝ち抜く上でも、バランス感覚が極めて重要、と私も考えます。この話、続きます。

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