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医学部受験の慶応進学会フロンティア» ブログ » 中村 克己» 宿命の光暈

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宿命の光暈

   投稿日: 2018/04/02    投稿者:中村 克己

  前回のブログでは思わせぶりな書き方をしてしまいましたが、私の友人は自死を選んだわけではありません。不慮の事故で急逝しました。ただ、私としては、それはアクシデントではなく、ブレーキを踏むことを知らなかった彼が招いた必然だった、と思っているだけのことです。

 そして、30代にもなればアクセルとブレーキの両方の使い方を知っている必要があるけれど、受験生は、まずはアクセルをしっかりと踏んで欲しい。最初からブレーキを気にしては勢いに乗れないよ、とメッセージしました。

 アクセルを踏むのは怖いことです。スピードを出せば事故のリスクも高まる。でも、やればやっただけの見返りがあるのが医学部受験なので、思い切って勝負して欲しいと思います。

 2日前、私は以前の教え子二人と食事をしました。ギリギリの勝負を制して医学部に入り、今では充実した学生生活を送っている彼らと四方山話をして、改めて「リターンの大きい世界」だと感じました。そのうちの一人は最近、東欧に旅行に行ったそうで、お土産にアインシュタインの人形を頂きました。いかにも私好みの素材とデザインで、しかも私は隠れシュタイナーです(←「誰にも言ったことはないが、実はアインシュタイン好き」の意)。自分のことをよく分かってくれる人がいるのは有難いことです。

 ちなみに、その二人はいずれも医師のご家庭で育っています。おそらく、親御さんの背中を見るうちに自分も医師になろうと決意したのでしょうが、同時に「医師になって欲しい」という、親からの有形無形の期待もあったと思います。その期待に応え、実際に医学部に入った彼らの、安定感。とても好ましいものに思われました。

 私などは、選択の自由がもたらす息苦しさ、面倒くささというものが、身に染みています。そもそも大学受験時に、どの学部を選べばいいのか、見当もつかなかった。今から思えば勘違いですが、当時は自分の習得能力や適応能力に自信を持っていて、自分はだいたい何でもこなせるはずだと思っていました。だからこそと言うべきか、大学入学後も、自分が何をしていいのか分からない。

 移り気な気質なので、目移りだけはするのです。広告も面白そうだし、建築もいいなあ。資格をとっておくと安心かもと思って、司法試験や会計士試験の世界をのぞいたり。政治にも興味があって、衆議院議員だった小池百合子さんの事務所に出入りしていたこともあります。でも、どの世界に身を置いても、そこが自分の本領だとはどうも思えないし、中腰で取り組んでも楽しくない。かといって、本領が、あるようで、無いようで、どこに向かえばいいのか分からず茫漠とした寄る辺なさを抱えてしまう。誰の青年期にもそういった時期はあると思いますが、私の場合はそれが長かった。

 歌舞伎や能のような伝統芸能の人たちが、今の時代にある種の輝きを持つように見えるのは、生まれた時から、選びようのない宿命を生きているからでしょう。全てが選べるがゆえに何も選べない時代に、選ぶ事なく一つのことをやり続けている人たちが眩しく見えるのは、当然のことだと思います。

 その種の眩しさを、彼ら二人からも感じました。親と同じ職業、というのがまた羨ましい。近現代になって「親の職業を継ぐ」人は激減しましたが、職の流動性が高まったことに付随するマイナス面は大きいと、個人的には思っています。(前近代は、親と同じ職業で、しかも生活の場と仕事の場が一致しているような労働のあり方が当たり前だったわけですが、そこには経済的価値には還元できない、大きな意味があったのではないか。と考える私は、過度のグルーバル化には反対で、国会議員の世襲問題は気にならなくて、一番注目している政治家は小泉進次郎さんです。)

 もちろん、二人にも気苦労が無いわけがないでしょう。しかし、人生の針路の大枠が決まっていること、しかもそれが医師であることの安心感は大きい。充実した日々を送っている彼らの話を聞きながら、ご褒美はちゃんとあるのだから、苦しくても医学部受験生は頑張り抜いて欲しい、やり抜くための下地を我々講師は整えなければならない、と思いました。

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