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医学部受験の慶応進学会フロンティア» ブログ » 中村 克己» 期待してもいい

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期待してもいい

   投稿日: 2018/03/25    投稿者:中村 克己

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 前々回のブログでは、急に自分を変えてくれるような魔法の杖などないのだから、少し頑張れば達成できるような日々の課題に向き合うべきだ、と記しました。

 我ながら、ワクワクしないことを言ってますね。。「一発逆転」を夢見ちゃいけないのか。

 私は、見ていいと思います(もう自分で言ってて「どっちやねん」と思いますが、両方なんです、片方じゃなくて)。

 小林秀雄が45歳の時に書いた「ランボオⅢ」という文章の中に、次のような一節があります。

「僕が、はじめてランボオに、出くわしたのは、廿三歳の春であった。その時、僕は、神田をぶらぶら歩いていた、と書いてもよい。向こうからやってきた見知らぬ男が、いきなり僕を叩きのめしたのである。僕には、何の準備もなかった。ある本屋の店頭で、偶然見つけたメルキュウル版の『地獄の季節』の見すぼらしい豆本に、どんなに烈しい爆薬が仕掛けられていたか、僕は夢にも考えてはいなかった」

 (何のことはない、「13歳の時、たまたま読んだ本に、私は衝撃を受けた」というだけのことなんですけど。これをわざわざ「向こうからやってきた見知らぬ男が、いきなり僕を叩きのめした」と書きたくなるのが文章屋の生理なのでしょう。こういった比喩表現は入試英語にもよくありますが、英語が苦手な生徒さんはこのような回りくどさについていけないことが多い。英語は母国語の読解力とも大いに関係がある、と私が考える一つの理由です)

 小林のように、トンデモナイ出会いに遭遇して、その後の人生が方向づけられる、ということは、誰にでもあり得ることだと思います。私の場合、最近では2014年10月、六本木の新国立美術館で開かれた展覧会で、ゴッホの「サント・マリーの白い家」を見た時のことをよく覚えています。

 見た瞬間に時間の流れが変わり、しばらくその場を動けませんでした。不純物を一切含まない、圧倒的な精神の力。ゴッホの感染力に私はすっかりイカれて、その後は細胞の組成も、世界の捉え方も、どこか変わったように思います。それまでは借金(←妻にはヒミツのやつ)に追われてヤサグレ度がちょっと高かったのですが、以後、ずいぶん一途に働くようになりました。今では妻公認の借金(←住宅ローン)しかありません。

 本物の芸術や芸能は、見る者を打ちのめすことがあります。受験生だってそういう機会を求めていい。脳みそを搾って短時間で勉強を済ませ、捻出した時間で積極的に本物に触れる。そこをまずは目指して欲しいと思います。

 本物に触れようとした時、最もコスト・パフォーマンスが良い(勉強以外の領域においては、この言葉は嫌いですが)のは、美術館・博物館巡りだと思っています。ドフトエフスキーを読もうと思ったら、代表作を数冊読むだけでも数か月はかかる。一方で、オペラや野外ライブに行くにはお金がかかります。いずれも受験生にはハードルが高い。でも、上野の国立博物館の年間パスポートなら4000円です。これで、特別展は6回鑑賞できて、常設展にはいつでも入れるのです。

 美術館の多くは、それ自体が特殊な空間で、特別な時間が流れています。椅子に座って心行くまでボーっとして、その後で30分間、英単語の暗記作業をする、なんてのは贅沢な時間の使い方だと思うのですが、どうでしょう。英語の読解には背景知識や想像力も大事なので、たまには書を置いて街へ出て欲しい、と思っています。

 批判する頭の良さより、いいなあと惚れ込む感性の方が大事。そういった気持ちで英語の文章を読んでみると、けっこう面白い文章もあるはずです。ちなみに私の同僚の数学科の先生方は、過去問を見ながら興奮して「これはいい問題だなぁ!!」などと歓声を上げていることがよくあります。

 受験勉強はツマラナイ、などと決めつけてもいいことは何もありません。しびれるような出会いに遭遇する可能性は、いつでも、誰にでもある。そう期待しながら勉強したり行動したりする方が、絶対トクです。

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