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医学部受験の慶応進学会フロンティア» ブログ » 中村 克己» 「合格体験記」には注意

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「合格体験記」には注意

   投稿日: 2018/02/16    投稿者:中村 克己

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この時期は、新聞に受験関連の記事が増えます。その中には、各界の著名人や経済人が自らの受験体験を語るものがあります。

 2月11日の朝日新聞では、秋田の酒造メーカーの社長さんが自らの体験を語っていました。曰く、

「受験勉強で、多くの人は苦手な部分を補完したがります。でも、少しでも適性があると思ったら、他のことを犠牲にしても、強みを伸ばして戦った方がいい」とのこと。

 皆さんはこの言葉をどう思われますか?

 私はこう思います。多くの受験生はこの言葉を「ラクを出来る言葉」として受け止めるだろうな、と。そしてその受け止め方は、その子の合格可能性を下げる可能性の方が高いだろう、と。

 だって、「苦手の克服」よりも「得意を伸ばす」ことを優先しろ、と言っているわけですから。「苦い薬」は無理して飲まなくていいよ、と言ってくれているのですから、「有難い」教えでしょう。

 大半の社会人は受験を経験しています。そこで成功体験を得た方は、えてして自分の体験を一般化しがちです。だいたい、人間なんてのは自分のスタンダードこそが「ふつう」で「普遍的」なんです。

 しかし、ここに落とし穴があります。

 一般に英米人は、「自分個人の体験」と「普遍化・一般化できること」を、日本人よりも注意深く峻別すると言われます。つまりエビデンス(客観的な証拠)を大事にする。

 この社長さんは、おそらく何千人もの受験生を指導した経験はないはずです。自分の経験した方法論は一般化できるはずだと勝手に想定し、論を展開しています。

 なお、この社長さんは秋田高校、つまり秋田ナンバーワンの進学校の出身で、その後、紆余曲折を経て東大に入っています。浪人時代は予備校に通い続けることが出来ず、最後は独学で1日18時間ほど勉強した、とのこと。大学卒業後は様々な職業を転々とし、注意欠陥障害(ADD)と診断されたこともあるそうです。

 秋田高校に行ける時点で、かなりのポテンシャルの持ち主です。その後の経歴を見ても、特異なキャラクターであることが分かります。

 そのような方の「合格体験記」は、果たしてどれほどの普遍性を持ち得るのでしょう。

 受験の世界には「鵜呑みにしない方がいい言説」が山ほどあるので注意です。

 餅は餅屋です。延べ数千人、様々なタイプの受験生を見て来たベテラン教師のアドバイスが一番有益だと思って下さい。

 そういった先生は、おそらく特殊なことは言いません。ごく当たり前の事しか言わないはずです。しかし、その中に金言を見いだせるかどうか。それは、受験生の感性にかかっています。

 少し意地悪ですが、小林秀雄の言葉を引用して終わりにします↓

「実行をはなれて助言はない。そこで実行となれば、人間にとって元来洒落た実行もひねくれた実行もない、ことごとく実行とは平凡なものだ。平凡こそ実行の持つ最大の性格なのだ。だからこそ名助言はすべて平凡に見えるのだ」

「諸君がどれほど沢山な自ら実行したことのない助言をすでに知っているかを反省し給え。 聞くだけ読むだけで実行しないから、諸君はすでに平凡な助言には飽き飽きしているのではないか。だからこそ何か新しい気の利いたやつが聞きたくてたまらないのじゃないか」

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