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あのよろし?

   投稿日: 2017/04/21

花札では,1月と2月の5点札に何やらひらがなのようなものが書かれた短冊が描かれていますね.

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2番目の文字は「の」のように見えますが,これは「可」の草書体がもとになったひらがなで,「か」と読みます.
他はそのままなので,正しい読み方は「あかよろし」ですね.
このような,学校教育ではあまり教えられないひらがなのことを「変体仮名」といい,多くの種類が知られています.

日本語を書き表すためのひらがなは表音文字と言われていますが,同じ読みでも表記の異なる文字があるということです.

もっと卑近な例を挙げましょう.助詞の「は」や「へ」は,それぞれ「わ」「え」と読む習わしになっています.これは,同じ文字でも読みが異なる例です.
「わ」と聞いただけでは,「は」と書けばよいのか,「わ」と書けばよいのかの判断ができません.同じ読みでも表記が異なる場合があるのです.

すなわち,ひらがなとその音は,1:1に対応していません.
「きみのなは」と書いただけでは,真知子巻きを流行らせた映画なのか,沖縄の県庁所在地について言っているのかわかりません.
それにも関わらず,我々が苦労せずにひらがなを日本語として読むことができるのは,文脈や,筆者についての情報などから,
無意識のうちに判断することができているからでしょう.

また,ひらがなは,世界の言語の発音を正確に表すことはできません.
有名な子音である「r」と「l」のどちらも表していませんし,「u」も表していないのです.ひらがなは日本語を表すための文字であるから,当然です.
しかし,英単語の発音をひらがなで書いている単語帳がありますね.注意していないと,ひらがながすべての音を表せる,という誤解をしてしまいそうです.

小学校で英語が導入され,ローマ字を訓令式で教えるか,ヘボン式で教えるかの議論が起きています.
音の表記が2種類になってしまって,混乱する児童がいるから,統一しようということのようですが,
どちらが優れているかの議論に終始し,2種類あるのだから,両方とも知っておけばよい,という論調にはなっていないようです.
「1:1に対応しないこともある」や「すべてのものを表しているわけではない」ということを理解させるのに格好の題材だと思うのですが,
このことを理解する困難を避けるような教育を進めようとしていることが残念です.

そうやってすべてが1:1に対応する,もしくはすべてのものを表していると思い込んで十数年を過ごしてきた者にとっては,
実数の組を実数の組に対応させる写像のうち,全射でないもの,たとえば(x,y)→(x+y,xy)のような写像は,理解しがたいようです.
今までの観念を打破するのは難しいですが,なんとかして理解してもらいたいところですね.




理数担当 河村浩行

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